岸栄高校演劇部〆発端
「仲が良いのね。あ、そういえば【ギン】ってあだ名だよね。本名は?」
「へっ?! えええっえっとおっ、俺の名前はっ、【銀貝 心太】(ぎんかい しんた)って言いますっ!
よ、よろしくっ!」
「ぷぷ、ギン、顔真っ赤」
「うっ、うるせーっ!」
からかってくるエイジを睨む。霧白さんは「ああ、だから【ギン】なのね」と納得していた。
その時の嬉しそうな顔といったら…!
って、エイジ笑ってんじゃねえっ!
「心太くんって面白い人ね。私も【ギン】って呼んでいい?」
「も、勿論っ。霧白さんがそう呼びたいんならっ!」
「ほんと?私も、【ハル】って呼んでね。よろしく、ギンくん」
「う、んっ……ハル、ちゃんっ」
さすがに【ハル】と呼び捨ては、俺には難易度が高いため『ちゃん』つけとなった。
………って、俺たち何しに来たんだっけか。
「あ、そうだ部活…。ハルちゃんって、部活決めた?」
「ううん、まだ決めてないの。ギンくんは決めたの?」
「う、うん。演劇部なんだけど……」
「え?演劇部なんてあったの?」
ああそうか。今の今まで忘れてたけど。演劇部は廃部になってたんだ。
そこで、俺はエイジに話した内容をハルちゃんにもカクカクシカジカで説明した。
始終エイジがニヤついてたことには触れないでおこう、うん。