岸栄高校演劇部〆発端



教室から出てハルちゃんのいるクラスへ。そろそろハルちゃんも委員会から戻って来てるだろうし、てことで。


だけど、先に教室内を見てきてくれたエイジ曰く、まだ戻って来てないと。


おっかしーなー、階段付近に一応、行ってみる?


そうエイジに尋ねると、それがいいと返答がきたため俺らは階段に向かうことにした。



「にしても、水川と随分仲良さげだったよなー、ギン。え、なになに?お前らデキちゃっ、だふッ?!」


「だからそう色恋に繋げようとすんなって。そういうエイジこそどうなんだよ、ハルちゃんとデキてんの?」


「はあ?ないない、アイツとは幼馴染み以上になる気なんてさらさらねーし。ハルだって俺のこと意識してねーだろ」


「ふーん……。まあ仮にエイジが彼氏だったとしてもご愁傷さま~、って感じだもんな」


「おいコラどういう意味だ」



首を絞めてくるエイジに「ギブギブ」と言って腕をたたく。


互いに冗談交じりの馴れ合いだとは重々承知だから、エイジもおどけてすぐに腕を離してくれた。



「まあ、ヨーコちゃんが入ってくれたのはホント嬉しいよ。話してみると意外と盛り上がったし」


「ヨーコちゃん、ねえ……。ふひひっ、下の名前で呼び合う仲ー………って、ごめんゴメン。ジョーダンだっつの」



「ギンくんこわーい」とぶりっ子口調&仕草をしてくるエイジに若干苛ついたので、とりあえず爪先を踏んでおいた。


ほんっとお前は色恋好きだなあっ!


へらへら笑っているエイジに呆れていると、いつの間にか階段まで来ていた。


っかしーなあー。ハルちゃんいないじゃん。委員会長引いてる?


エイジに「どうする?」と尋ねれば「もうちと待ってようぜ」と言われたのでそのまま待つことにした。


ら、ハルちゃんの優しくふんわりとした可愛らしい声が階段上から聞こえてきた。


おおっ、やっと来…た…………。
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