岸栄高校演劇部〆発端
気づけばあっという間で。俺は一番に拍手をしていた。
「すごい、すごい」って。涙なんかアホみたいにグシャグシャに流して。
『感動』、したんだよな。
そんで思ったんだ。
俺、絶対この高校入る。んで、演劇部に入るんだって。
岸栄高校演劇部
(きしえいこうこうえんげきぶ)
『俺』は『天使』に
見えない壁を壊された。
新しい世界へと
俺の手を引いてくれたんだ。
街を取り囲む、目に見えない壁。
その向こう側へと越境を試み続ける住民と、それをやさしく見守る天使。
絶望のなかでも、彼らはあくまでも明るく、限りない勇気をたたえていた。
『天使は瞳を閉じて』より