岸栄高校演劇部〆発端
事の発端はそう、体験入部についてクラス担任から部活一覧表を配られたとき。
演劇部に入るぞと意気込んでいた俺は『演劇部』という三文字を冊子から探していたんだが……。
おやおかしい、どこにも載っていないぞ?そんな馬鹿な。
しかし二度見しても三度見しても『演劇部』という文字が出てくるわけでもなく。
何故なんだと職員室へと殴り込み(※嘘ですすいません)、結果、演劇部『元』顧問から告げられたのは。
『は、は、廃部ぅうっ?!』
『残念だったな。ま、諦めるこった』
予想外の『演劇部廃部』。
ああ神様、俺の勉強に費やした時間を返してください。
だけど、俺はそんな簡単に諦める男じゃない。なんとか頼み込み、ようやく条件つきで演劇部再始動を許可してくれた。
その条件ってのが、部員を12人集めてくること。ちなみに俺は含まずだって、ケチンボ。
そんでもってエイジがその一人目なのだよ。
そうエイジに伝えると、「なるほどな」と言ってエイジは俺も協力すると言い出したのだ。
え、え、エイジっ!君ってばなんて男前なんだ!惚れてまうわっ。
………と、冗談はさておき。
「で、二人目は誰誘う気なんだよ」
「んー、それがまだ決めてないんだよねえ。ほらぁ、まだ入学して間もないじゃん?だから友達だって少ねぇし…。
いちお、さっきあそこの男子たちに入ろうぜって声かけたんだけど、さ。『お生憎さま、演劇部なんてナヨった部活、興味ないんで』だってさ」
「はあ?……ギン、ちょっとアイツら絞めてくらあ」
「え?!ちょちょちょ、ストップすとっぷ!そこまでしなくていいからっ!」
「けど、」
「俺はダイジョーブっ!それより部員集めが先だって」
気にしてないよ、エイジの気持ちだけで十分だと伝えれば、渋々ながらもエイジは大人しくしてくれた。