ダーリンは12歳年下~遠恋の果てに~
クリスマスムードもそっちのけで離婚に向けてあたしががむしゃらに働いてる時、なんとゆうタンは地元の群馬県を飛び出し大阪に出てきた。
『俺、大阪で暮らすから。』
『え?!ほんとに?!大丈夫なの??』
『大丈夫。しいタンと一緒に居たいから。』
あまりに突然のことだったので複雑な気持ちだったけど、やっぱり嬉しかった。
群馬と大阪じゃめったに会えなくて、新幹線で帰るゆうタンを見送った後、寂しさが溢れだしてホームで暫く泣いてたんだもん。
それに、東京での今日子達との事で、知らないことばかり増えてたからずっと不安だったし。
なのに、ゆうタンがこんなにも近くにいる。
会いたい時に会える。
そしてゆうタンは行き当たりばったりで、寮のある仕事をみつけた。
あたしと同じように夜の仕事だった。
お互い不規則な生活で忙しかったけど、それなりにゆうタンとあたしだけの時間を共有することが出来た。
『ねっ!ねっ!これもう1回通ろう!』
ゆうタンはショッピングビルの回転扉に喜んで、あたしの手を取り行ったり来たりと何回も通り抜けた。
ゆうタンってば、ほんと無邪気でかわいい!
そして、初めてゆうタンの為に食事も作った。
まだ、家財道具もそんなに揃ってないから、お鍋ひとつで出来るおでんを炊いた。
『しいタンの作ってくれたご飯おいしいよ!』
『また、ご飯作りにくるからね。』
もう年の暮に差し掛かっていたので、あたたかいおでんを食べて2人一緒に身も心もホカホかになった。
ゆうタンが大阪に居てくれるだけで、あたしの暗かった心の奥が明るく輝いた。