恋は盲目ってやつですよ
「おおおおおお落ち着け橘(たちばな)っ、お前が今襲ってるのはムサイ男だぞ?」
「大丈夫です。先輩そこまでムキムキじゃないですから」
「そりゃアレか、俺をバカにしてんのか」
「いえいえ、舌で這いまわしたいほど綺麗な体ですよ、先輩の体は」
「っ……」
耳元で囁かれ、最後にフッと息を吹き掛けられる。その途端、ゾワッと背中に何かが走った。
だけどそれは、嫌悪からくるものじゃなくて。
「そこらの女の子以上に綺麗で、可愛いです。……先輩、その涙目、誘ってるんですか?」
「なわけあるかっ!俺は男だしっ、なによりされるよりする……げふんごふんっ。
とにかく!俺はっ……ひゃうっ」
「可愛いなんて言葉、先輩のためにあるようなものですよ」
ものすごい速さで制服のボタンを第三まで開けられ、つつぅ、と指が這われる。
その言い様のないムズムズとした感じに思わず声を漏らしてしまうも、俺は目の前の後輩に負けじと首を伸ばした。