恋は盲目ってやつですよ
あまりにも情けなさすぎて、俺は涙目になりながらもチラッと橘を見た。
そこには、ポカン顔で俺を見つめる可愛い可愛い後輩がいて。
だけどすぐにニィイと口角が上がった。
「やっぱり、先輩を攻めてナンボですね」
「いやその見解まちがってる!」
「ふふっ、ここまでされちゃあ攻め女として、更に先輩に尽くさなきゃですね」
「うぐっ……っていうか、さっきから『可愛い』って、俺男だぞ。俺なんか特に取り柄もないフツーの平凡野郎だし」
かなり心配した風に尋ねれば、後輩は笑顔でこう言った。
「恋は盲目ってやつですよ」
ンな阿呆な。答えになってない。
そう反論しようにも、その口は塞がれることとなる。