[完]俺様くんがスキなんです!!
「ふふ、どうやって?」

私は鼻で笑って健人くんを冷たい表情で見下ろした。

「だって……まぁ、外を見てごらんよ」
「外?どうして?」
「外ってよりは窓を見てみて?」

私は不思議に思いながらも窓のほうを見てみると……

「っ……!!」

私は思わず持っていたバックを落としてしまった。

だってそこには……窓ガラスのすぐ向こうには……

息を切らして窓ガラスをドンドンと
必死に叩いている私が会いたかった……
ずっと待っていた人がいたんだから。

「どう?信じる?」

勝ち誇ったような顔をして私を見る健人くん。

「……嘘だ!!」

私はその場でぼそりと呟いた。

「幻なんて見させないで!!
夢なんて見させないでよ!!」
「幻でも夢でもねーぞ?」

私はその声で体がピクッと反応する。

いつの間にか後ろにいたその人……。

前より低くなったけど俺様口調な面影がある声ですぐわかった。

「っ……なんで、いるの……?」

私は思わず泣いてしまった。

「……逢いたくなった。
迎えに来てやったんだよ」

そしてその人は私を後ろからそっと抱きしめる。

「……バカ、遅い」
「ごめん……」

その弱々しい声に私の胸がキュッと締めつけられる。

ずつと信じてた。

この人だけは信じてた。

絶対私の味方だって信じてた。

だから精一杯の声であなたを呼ぶよ……

「……風磨……」

あなたをずっと求めてた……

「美紅……」

その声で私の名前を呼んで欲しかった。

待ち続けすぎた愛おしい声。

やっぱり私には……もうあなたしかいない。

私はそのまま後ろから回っている
風磨の手をただただギュッと包み込んだ。

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