[完]俺様くんがスキなんです!!
「……どうして?」

私はあんな過去思い出したくもないし
風磨に知られたくない。

「それは「何か健人くんから聞いたんでしょ」

そういうと風磨は黙って下を向いてしまった。

ほらやっぱり……

「なんかおかしいと思ってたんだよ……
風磨があのタイミングで来るのもおかしいし……
風磨は私の過去に同情したんでしょ」
「違げーよ」

すぐ風磨の荒っぽい声が私の耳に響く。

「じゃあなんで会いに来たの!?
わかんないよ!!
なんでこのタイミングなの、
なんで私のつらかった頃には来てくれなかったの!?」
「……」
「健人くんから何聞いたかわかんないけど……
私はそんな状態で来た風磨に会いたくなかった。
そうだよ……みんなそう。
私なんて誰も必要としてない、
私なんていなくなればいいんでしょ!?」

そう言い残して私はそのままその噴水から駆け出した。

違う、違う……本当は違うんだよ……

本当は同情してくれたとかそういうことじゃなくて、
風磨に会えただけで幸せだった。

もう一生会えないって思ってたから、
顔を見れただけでよかったんだよ。

けどなんでだろうね……

人はもっともっと欲しくなる。

ダメだとわかっても欲が出てくる。

いっそ私はこのまま風磨に触れたいと思っている。

どうして、どうしてこんなに
涙が出てくるんだろう。

私達は出逢う前の関係に戻るだけなのに……
もっと隣にいて欲しいなんてバカなこと思ってる。

誰か私の自分勝手に動いている歯車を止めて……!!

ーギュッ……

私は思いっきり後ろに引かれた。

「そんなんじゃねーよ」

彼が私を引き止める。

どうして彼は私を一人にさせてくれないんだろう……

一人が平気だったのに……
どうして一人が怖くなるんだろう……

彼は私を狂わせる。

「同情したんじゃない
ずっと会いたかったんだ
けどどこにいるかもわからない。
そんな状況で健人からいろいろ聞いた
ごめん、過去知られたくなかったよな?
でもよ、俺はそんなこと言われても
美紅のことしか頭になくて
俺バカみたいに会いたかった」

そんなのズルい……

そうやっていつも私を惑わせるんだ……
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