[完]俺様くんがスキなんです!!
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「美紅、行くぞ?」
「うん」

あれから3ヶ月。

美紅は親父の病院の精神科に通いながらも
俺に心を許すようになり順調に続いている。

「大丈夫かな……」
「何が?」
「……やっぱり、怖いかも」
「大丈夫だ、俺がいる」

俺は美紅の左手をギュッと握った。

「うん、ありがと」

美紅は嬉しそうに手を絡ませた。

「ねぇ、会って何話すの?」
「は?言う訳ねーだろ?」
「……ケチ」

ぷいっと顔を横に向ける。

言う訳ねーだろ?

これからあいつには
大事な話があるんだからよ……

__________

「着いたね……」
「あぁ」

俺達が来たのは刑務所。

もちろん美紅の親がいる。

すると美紅の手が微かに震えている。

「……大丈夫か?」
「ごめん、めっちゃ体震えてる」

美紅の目には涙が浮かんでいる。

「大丈夫だよね?
部屋仕切られてるよね?」
「心配すんな。
何があっても俺が守るから」
「うん、でも一つだけ約束して?」
「……なんだよ?」

すると美紅は俺の手両手で包んで
美紅の胸に当てた。

「あいつは何するかわかんない。
だから、死にそうになったら
抵抗しないですぐ逃げて?
お願いだから……
風磨、死なないで……
風磨が死んだら私誰もいなくなる……
そしたら私きっとすぐ死んじゃうから……
だから「わかった、約束する。
けど簡単に死ぬなんて言うな
絶対に言うな
俺は美紅に言われた通り何もしねーから」

美紅の涙を一つ一つ拭いながら
言い聞かせる。

「うん、絶対」

そしてそのまま俺達は刑務所へと足を進めた。
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