Cold phantom
序章 いにしえの親友
桜は咲き誇り、鮮やかな白が空気に抱かれ宙を舞う。
色を持った河の如く緩やかに落ちて行く花弁は不意に添えられた手にその一粒がまるで狙ったかの様に乗っかった。
校庭の桜は見事に咲き、それは暖かい陽射しすら遮る程だった。
「綺麗に咲いたねぇ、今日が一番の見頃なのかもねみーちゃん。」
私は見上げた桜から視線を外し、みーちゃんを見る。
私の親友のみーちゃんはと言えば、腰に手を当ててムスッとした表情で私を見ていた。
ご立腹と言う程ではないようだが、少々呆れが入った表情だった。
「綺麗に咲いたねぇ…じゃないでしょ。今日学校に来てる理由ちゃんと理解してる?」
「う、うん…」
我ながら歯切れの悪い反応だった。
今日この日は、この学校の合格発表の日だった。
今時珍しい掲示型の発表になるため、受験者がこの日の為に今まで勉強して、勇んでやって来るのだが、私達はそんな気持ちとは裏腹に、別の意味で勇んでやって来ていた。
いや、勇んでやって来たのはみーちゃんの方か…私はどちらかと言うと巻き込まれた側と言ってもいい。
私達は今年から3年生になる。
ゆえに今年の受験より来年の受験を考える方で、実質今は春休み真っ只中だった。
そんな私達が今、校庭の掲示板の前にいるのには訳があった。
色を持った河の如く緩やかに落ちて行く花弁は不意に添えられた手にその一粒がまるで狙ったかの様に乗っかった。
校庭の桜は見事に咲き、それは暖かい陽射しすら遮る程だった。
「綺麗に咲いたねぇ、今日が一番の見頃なのかもねみーちゃん。」
私は見上げた桜から視線を外し、みーちゃんを見る。
私の親友のみーちゃんはと言えば、腰に手を当ててムスッとした表情で私を見ていた。
ご立腹と言う程ではないようだが、少々呆れが入った表情だった。
「綺麗に咲いたねぇ…じゃないでしょ。今日学校に来てる理由ちゃんと理解してる?」
「う、うん…」
我ながら歯切れの悪い反応だった。
今日この日は、この学校の合格発表の日だった。
今時珍しい掲示型の発表になるため、受験者がこの日の為に今まで勉強して、勇んでやって来るのだが、私達はそんな気持ちとは裏腹に、別の意味で勇んでやって来ていた。
いや、勇んでやって来たのはみーちゃんの方か…私はどちらかと言うと巻き込まれた側と言ってもいい。
私達は今年から3年生になる。
ゆえに今年の受験より来年の受験を考える方で、実質今は春休み真っ只中だった。
そんな私達が今、校庭の掲示板の前にいるのには訳があった。