Cold phantom

私のバイト先である「喫茶 you」は商店街入り口から歩いて直ぐの場所にある木造（ログハウスと言っても過言ではない）の喫茶店。

気さくな店主と挽く前からこだわりのあるコーヒー豆を使ったコーヒーが売りの地元に愛されてきた店だとみーちゃんは言っていた。

商店街では唯一の喫茶店で、下手すれば地域一体で見てもここだけなのかも知れず、愛される理由が伺い知れる。

この店には裏手と言うものがない。

だからいつもの店の入り口から入りカウベルをカラカラと鳴らして入店している。

いつも通りと言う訳では無いが、混雑時の前だからか店内は客もおらずガランとしていた。

「いらっしゃい、あぁ祥子ちゃんか。」

「こんばんわ店長、あれ？みーちゃんはどうしたんです？」

張りのある高い声と共に店の奥から現れたこの女性は、この店の店長…。

「こら祥子ちゃん、マスターと呼びなさいっていつも言ってるでしょ。」

…訂正、「マスター」の青村優（あおむらゆう）

名前が示す通り、みーちゃんとは親戚関係にある人物だ。

と言っても、聞けばちょっと遠い親戚ではあるみたいだけど…。

ほんの少しだけシャギーのかかった薄茶色のショートヘアと、少しだけ開いた二重の目に左目下にあるホクロが印象的で、160半ばくらいの身長とちょいポチャだが品のあるふくよかな体型の、飽くまでも（妙齢）な女性だ。

歳は一向に教えてくれる気配がないのでよくは知らない。

ちなみにバーベキューの話に出てきた「マスター」とはこの人の事で、前にも述べたみーちゃんの親関係以外で知っている親戚と言うのもこの人の事だ。