Cold phantom
「あの子ならもう来てるよ、仮眠してて今起こしたとこ。」

そう言って間もなく、既に店の制服を着たみーちゃんが店の奥から現れた。

「んー、眠い…これからバイトなんて考えたくないんだけど…」

どうやら、仮眠ではなく熟睡だったようだ。

「みーちゃんはあれから休憩室使ってたの?」

「うん。子供の頃からここに来てたし、自分んちみたいに使ってきたからどうも甘えちゃうんだよね。」

そう言って笑っておどけて見せた。

みーちゃんの言うように、今回の事は初めての事ではない。

中学生の頃にも似たことがあって、マスターに「ここで寝る」的な事も言っていた。

みーちゃん曰く、私と出会う前、小学生の頃にも稀に使っていたようだ。

休憩室には一つだけだがベッドもあり、泊まっていくには十分な設備は整っていた。

お菓子や小物、数は少ないがぬいぐるみも持ち込んでいたりしていて、半分出入り自由なみーちゃんの別荘状態になっていた。

幸い、昼の大学生のバイトもまたその部屋の状態を気に入っていてマスターも咎めるに咎められない状態にまでなってしまっている。

マスター自身はお客からは見えないからと目を瞑っている。

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