Cold phantom
「祥子ちゃんも早く着替えてきて。今はお客さんいないけど、今日はちょっと忙しい日だから。」

「はい。」

私はマスターに言われるがままに店の奥で着替えの準備を始めた。

「あ、そうだ。マスター。」

「ん?」

私が着替えている途中で、部屋の外でみーちゃんがマスターに声をかけた。

「今日ちょっと訳ありでコーヒー奢るやつがいてさぁ、その分の料金を先払いしとくよー。」

「奢る?まぁ、別に良いけど、美咲にしちゃ珍しい。なんかあった?」

「いやぁ、ちょっとねー…」

返事を濁したみーちゃんは、どうやら先に机の布巾掛けを始めたようだ。

私もまた急ぐように制服に着替えた。

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