Cold phantom
「私は渡良瀬沙冬美、美咲や祥子とは友人よ。」

沙冬美ちゃんから自己紹介されて、意外だったのか男の子はちょっと慌てた様子で自己紹介を始めた

「あ、俺は阿檬武(あぼうたけし)みんなからは「たけ」って呼ばれてるッス。こっちは友人の里村雄二(さとむらゆうじ)。」

「阿檬君?」

私は何気にその名を語った時、何か引っかかる物を感じた。

不思議なくらいその名前が頭の中をぐるぐると駆け巡る…デジャヴだろうか、どこかでその名を聞いた気がする。

どこかでその名を…いつかどこかでみーちゃんから聞いた名前だったろうか?

もしそうなら不思議では無いけど、そこら辺の記憶が曖昧だった。

「祥子?」

「え?あっ…」

沙冬美ちゃんの言葉でふと我に返ると、心配そうにこちらを見ている三人の顔があった。

思っていた以上に深く考え過ぎていたようだ。

「え、えと…あ、たけ君と…里村君だっけ?ご注文は?」

慌ててオーダーを告げる私を沙冬美ちゃんはニヤリと見ながらまたコーヒーをすすっていた。

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