Cold phantom
いつも通りと言うのもあれだが、午後7時半を過ぎてたけ君達が退店した後も、来店者が少しずつ集まり始めてきた。

今の時間が一番ピークなのを知っているのか、未だ座った席から動かない沙冬美ちゃんは一杯のコーヒーを時間をかけて啜っていた。

ありがたい事にいつも座る席がカウンターの端っこの為、複数人のお客さん相手でも邪魔にならずにいてくれている。

多分沙冬美ちゃん自身がそれを解って端に座っているのだろう。

メンバーで唯一の常連だけに弁えてくれて助かる。

「祥子、カプチーノとホットのカフェオレお願いね。マスター、ナポリタンまだぁ?」

「もうすぐ出来るからちょっと待って。」

「カプチーノとカフェオレ?ミルクあったかなぁ…。」

「それと、カップ洗っておいて。」

「あ、うん。おいといて、すぐ片すから。」

「美咲、さっきのタマゴサンド出来上がってるから持ってって。」

「マスター、ミルク残ってますか?」

「勝手に持っていって、ホット無いからそっちでなんとかして。」

今日は何だか忙しい。

満席になる事は無かったが、数多い常連客が今日は良く集まっている気がする。

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