Cold phantom
「ふーみんから?めずらし、あいつがメールなんて。なんて書いてるの?」

「次の日曜日、槍三に朝九時集合って書いてあるわ。」

沙冬美ちゃんはそう言って、フィーチャーフォンの画面を私たちに見せた。

そこにはきっちり「行けなくて悪ぃ」とも書かれていた。

槍三とは「槍倉第三公園」の略でこの槍倉でも一番大きな公園で、桜の観光地にもなっている。

私はあまり、いや冬の時期に一回しか行った事がなかったため、その桜を見たことは無かった。

この店からならそう遠くない場所にある。

「槍三かぁ…」

私はふと口にしてそう言う。

それと同時に奥からマスターの声が響く。

「あ、祥子ちゃん。もう時間だから上がっていいよ。」

その言葉を皮切りに私は帰り支度を始めた。
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