Cold phantom
祥子編 似た者同士の二人

個性派仲間

まるで夢の続きを見ているかの様な見事に咲き誇る桜の歩道。

夢の内容ははっきり覚えていないが、満開の桜が咲き誇っていたのは間違いなく覚えていた。

それだけでデジャヴと言う程ではないが、やけに懐かしい気分にはなった。

雲一つない蒼天の空を眺め、そこにまた白の花弁が通りすぎた。

今日の桜は今まで以上に自己主張が激しい。

学校の登校路の途中にある橋を渡れば川の流れに乗る花びらもチラチラと見え、色のない流れの波にほのかな桃色が混じっていた。

私達の住む小さな町「槍倉市」は昔から桜の咲き誇る地域として有名だ。

毎年この時期になると、市が総力を上げて催し物や観光関係に力をいれるので他地域からの観光客は勿論だが、他国から来る客も時々いるようだ。

今日も登校中に一台の観光バスが通り過ぎていった。

「今年も公園は人でごった返すわねぇ、騒がしいの嫌いじゃないけど桜くらいゆっくり見せてほしいんだけどなぁ。」

みーちゃんはそう言って今通りすぎた観光バスを遠目に眺めた。

バスが通りすぎた後の勢いのある微風がみーちゃんの長い薄茶色の長髪を少しだけなびかせた。

みーちゃんこと青村美咲(あおむらみさき)は私の中学時代からの親友。

168もある長身とスラッとした体型、少しだけつり上がった目が特徴的で、腰に手を置く癖のあるちょっと強気な女の子。

本人曰く、強気な性格に自覚はなかったようだが、周りの反応から少しだけ自覚を持ちつつあり、密かな悩みになっているらしい。

中学校の頃から学校ではたまに話題にあがるちょっとした学園のマドンナで、その性格さえ無ければ彼氏の一人二人は間違いなく居たに違いないとよく言われている。

そんな美人の隣にいるせいか、何故か私まで話題にあがる事がある。

どんな話題なのかはあまり知りたくはないが…
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