Cold phantom
強い頭痛に視界も揺らぎ、目を開けられなかった。

早めにいつもの薬を飲みたいのにカバンが見当たらない。

ズキズキする頭でベッドから乗り出して部屋中を見回した、しかしやはり見当たらなかった。が…

私はベッドの横にある棚に乗せられた水が入ったガラスのポットを見た。

「まさかね…」

そう呟いて、私はその棚の一番上の引き出しを開けた。

探していた薬がそこにあった。

まるで私の行動を見透かしたかのように、用法通りに二錠…

それだけで私をこのベッドに寝かせた人物を把握した。

長池先生だ。

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