いつも同じ空の下で
急いでブーツを履いて、ガチャリと玄関を開けると
ヨシキが真っ黒のコートに紅色のマフラーを巻いて立っていた
その姿に思わずドキっとする
同じ高校生には見えないぐらい、大人っぽいヨシキ
綺麗なグレーの瞳を柔らかく細めて、現れた私を見つめた
「お…お待たせっ」
危ない危ない。
一瞬見惚れてしまった・・・
そんな私の声を聞いて、後ろからバタバタと家族が駆けてくる音が聞こえだす
そして、勢いよく後ろを振り向くとリビングから、ワッと家族が溢れ出てきた
「あら~ヨシキくん!! 寒いのに、わざわざありがとうね~」
と、久しぶりのヨシキにテンションMAXのお母さん
「今日はヨシキくんのお家に呼んでいただいたみたいで、ありがとねぇ~」
と、ニコニコしているお父さん
弟のミズキに至っては
「ヨシキさんだけ、うちに残ればいいのに~」
なんて、訳の分からない事を言っている
ヨシキ好きは健在の今宮家
ものすごい勢いでヨシキと話している
やばい!! このままだと家族のペースに飲み込まれてしまうっ
そんな身の危険を感じた私は
「あ――――!! はいはい。それじゃぁ行ってきます!!」
と、会話を強制終了させた
お母さん達はまだヨシキと話したかったのか、ブーブー文句を言っている
まったく。どんだけヨシキのファンなのよ!!
投げやりに後ろを振り返って、行ってきます!! と言い放って
グイグイと両親から引き離すようにヨシキを玄関の外に押しやった
「気を付けてね~ヨシキくん」
そんな私達を見て、玄関でお父さんが手を振っている
って!! ヨシキだけかい!!
可愛い娘はどうでもいいのかいっ!!
後ろのお父さんを睨みつけながら、プンスカ怒りながら外に出ると