いつも同じ空の下で


――それからの日々は、本当に空っぽだった




心にぽっかり穴が開くって、こういう事なんだって初めて分かった



何をしても心に響かない

何を食べても味がしない

何を見ても色を失っている



ただ、そこにいるだけ





ユウキとアヤカから遊びに誘われても、どうしても行く気になれなかった




外に出る事が怖かった

だって、いろんな所にヨシキとの思い出が詰まっていて苦しかったから




いつもの帰り道

待ち合わせた駅

何時間も話した公園

一緒に食べたオープンカフェでのサンドイッチ




私の周りの世界はヨシキで溢れていた








何もしない夏休みは恐ろしく長く感じた

去年は風の様に過ぎ去って行ったのに・・・



私の周りだけ、まるで時がゆっくり流れている様な気がする





忘れなきゃ

忘れなきゃ




でも、そう思う度に涙が溢れてくる

まるで、私の体がヨシキを忘れる事を拒否しているかの様に




「ヨシキ・・・・」





名前を口にするだけで、胸の奥が縮まる様な感覚がする




私は忘れる事ができるのかな――・・・


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