いつも同じ空の下で


それからしばらくして、ユウキ達が心配すると思って涙を拭いて呼吸を整える

遠くの方から大きな歓声とギターの音が聞こえる

ライブが始まったみたいだ



ヨシキも、あの子と一緒に見るのかな

そう思うと、また胸が潰されそうだった



それでも、歯を食いしばって涙を堪えながら、歓声のする方へと足を進めた




――――・・・
――・・・




「すっごい楽しかった~!! やっぱ噂通り青凌の文化祭はすごいね、規模が違うっ」



満足そうにユウキが、まだ興奮冷めぬアヤカと楽しそうにライブの感想を話している

私はというと、ライブの最中もどこか上の空で、無意識にヨシキの姿を探していた




「ジュリ? どしたの?」

「え? あ、ううん!! 何でもない。ちょっと人に酔っただけ」



ボーっとしている私を不思議に思ったのか、アヤカが私の顔を覗き込んできた

その姿で我に返って、勢いよく笑顔を作る




早くここから出たい―――

そんな事を思っていると




「あの、すいませんっ」




突然後ろから声を掛けられた

振り返ると、そこには1人の男の人が立っていた

走ってきたのか、若干息が上がっている

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