いつも同じ空の下で
「うぉ!! うっまそー」
ぼんやりしていると、突然頭の上で声がした
その場で飛び跳ねながら、驚いて顔をあげると
「――っ」
そこには透き通ったキラキラした瞳と
サラサラと風になびく、綺麗な髪があった
さっ! さっきのっ!!
その光景に思わず大口を開けて、固まってしまった私
声の主は、冷水器の所で醜態をさらしてしまった『ヨシキ』だった
「それ自分で作ったの?」
ニッコリ微笑むと、私の横に何の躊躇いもなく腰かけた彼
そして子犬が餌を待っている様に、キラキラした目でサンドイッチを見つめている
「うっううん。お母さんが作ったの・・・あの・・・よかったら食べる?」
ひしひしと感じる視線に負けて、オズオズとハムチーズとレタスの入ったサンドイッチを彼に差し出した
「いいの!? 俺ハムチーズ大好きっ」
と、まるで子犬のようにサンドイッチを私の手から奪い取り、モグモグと美味しそうに食べ始めたヨシキ
「ふふっ。よっぽど、お腹空いてたんだね」
あまりにも美味しそうに食べるから、思わず笑ってしまった
「いっぱい動いたからな。食べ盛りの高校男子の胃袋はブラックホールだよ」
サンドイッチを2口ぐらいで食べている様子を見ると、あながち嘘ではない気がした
きっとユウキも高校男子並みに食べ盛りだな・・・
「あぁ~やっぱ手作りは美味いな~。ごちそう様! えっと・・・今さらだけど名前なんていうの」
顔の前でパンッと手を合わせたかと思ったら、こっちに向き直って私の目をじっと見つめてきた彼
思わず引け腰になりそうな心をグッと堪えて、ゆっくりと口を開いた
「――樹里・・・今宮樹里」
「樹里か・・・いい名前だね。俺は『藤林由樹(フジバヤシ ヨシキ)』 ヨシキでいいよ」
そう言って、人懐っこい笑顔で話すヨシキ
その姿を見て、自然と頬が緩んだ
「ヨ・・・ヨシキ」
そう言って名前を復唱してみた
すると、ヨシキは満足そうに微笑んで
「俺ここの2年。ジュリは?」
いきなり名前を呼ばれてドキッとしたけど、さっき名前を褒められた事が嬉しくて
「私もっ2年!!」
と、前のめりになって答えた