いつも同じ空の下で


食事を終えてから、そのままお店で少し話した後、家まで送ってもらう事になった




「ありがとうございました」




車から降りて星野さんに深々とお辞儀をする

顏を上げると、窓に片腕をかけて微かに微笑む彼がいた




「俺の方こそ助かった」




そう言って、私の顔をじっと見つめる星野さん

まるで、何かを考えている様だった

その姿を見て、何を言われるか緊張しながら待っていると




「――なぁ・・また今度飯つきあって」




いきなり開いた星野さんの口から出た言葉

思いもしなかった申し出に、思わず目を見開く



「俺1人暮らしだから、飯食べるの基本1人なんだよ。1人で飯食っても、美味くねぇし」



車のハンドルにもたれ掛かる様にして話す星野さん

その端正な顔に、ドキドキと心臓が痛む



「えっと・・・私でよければ付き合いますよ」



なんだか恥ずかしくって下を向いたままそう呟いた



「あぁ。頼む」

「はい」

「じゃ、また連絡する」

「はっ、はい」



エンジンをかけた星野さんに、もう一度お辞儀をする


そんな私に小さく手を上げた星野さんは、そのまま車を走らせた




バイト先では全く笑わないクールな星野さん



でも、今日1日で彼のいろんな表情を見る事ができた気がした

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