いつも同じ空の下で
「この広い世界で出会えた事って、奇跡みたいな事なんですよね」
キラキラと輝く夜景を見ていたら、思った事がポツリと零れた
「そうかもな」
星野さんも真っ直ぐに前を向きながら、そう呟いた
目の前に広がる景色の中に、どれだけの人がいるんだろう
でも世界はもっと広い
この街の何百倍もの広さだ
そして、そこに住む人達も何百倍、何千倍といる
今私の周りにいる人達と出会えたのは、いろんな奇跡を繰り返した結果で
1つも欠けては出会えなかったわけで
それは、途方もない事なんだ――
ユウキと出会えたのも奇跡
アヤカと出会えたのも奇跡
ハヤトやタカシ。星野さんも
ヨシキも。
きっと出会って恋をして、お互いを好きになる事は、もっともっと確率の低い事で
それもまた『奇跡』なんだ
無数の赤い糸の中で巡り合った私とヨシキ
でもいろんな糸が絡まりあって、ちぎれてしまった私達の糸
時は戻らない
前に進むだけ
私の小指にはまだ、ヨシキとの糸がぶら下がっている
でも、その先にヨシキはいなくって――
私達は別の道を進んでいるんだ
交わる事のない道を
そう思うと、胸が締め付けられた
過ぎ去った過去が羨ましい
昔の自分が恨めしい
未来の自分が惨めに見える
隣に星野さんがいるのに、こんな時もヨシキの事しか考えられなくて
零れそうな涙を流すまいと、空を見上げた
すると
「なぁ。なんでそんなに苦しそうなわけ?」