いつも同じ空の下で


「あ・・・はい」

「そ」



頼りない私の返事を聞いても、前を見つめたまま、素っ気なくそう言った星野さん



星野さんがあまりお喋りな人じゃなくてよかった

いろいろ聞かれたら、なんて答えていいか分からないから



グッと拳を握りしめながら、さっきヨシキが立っていた場所を見つめる



ヨシキ・・・こっちに気づいてた



もう一度会いたい

遠くからでいいから

もう一度、声が聞きたい



そんな事を思っていると、不意にガヤガヤと遠くから話し声が聞こえた

声のする方に視線を向けると、さっきの団体がゾロゾロとこっちに向かって来ていた



途端に緊張の糸がピンと張る


一気に足が震えだす

口の中がカラカラだ




しばらくすると、団体の中の一人がジャージを持ってレジに来た


――そして、その後ろにヨシキが並んでいる




手が震えて、うまくバーコードをすれない

ヨシキの視線を感じて、息をする事も難しい

心臓の音が聞こえるんじゃないかって程、ドキドキと心臓が早鐘を打っている



1人目の人のお会計を、なんとか終わらせると



「ヨシキ~俺トイレ行ってくるわ」



そう言って、その人は袋を持ってレジから離れて行った
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