いつも同じ空の下で
「いらっしゃいませ」
小さな声でそう言って、ヨシキの持ってきたTシャツを、震える手で持ち上げた
やばい・・・声まで震えてる
ヨシキの顔が見れない
話したい事は沢山あるのに
もう一度だけでも、声が聞きたいのに
声が
体が
うまく動かない
そんな歯がゆい気持ちでいると―――
「久しぶり。ジュリ」
不意に、頭上からヨシキの声が降ってきた
温かい、胸の奥にすっと入っていく声
私の大好きな声
その声を聞いただけで、私の胸は締め付けられ、鼻の奥がツンとした
緊張のあまり声が出ず、コクンとただ頷く
隣では、星野さんが私がスキャンしたTシャツを畳んで袋に入れている
「何時にここ終わるの?」
一瞬の間の後、ヨシキの言葉が再び降ってくる
その、思わぬ発言に顔を上げた
「話したい事がある」
昔と変わらない優しい笑顔でそう言ったヨシキ
キラキラと宝石の様な瞳が、私を見つめている
でも
話したいのに声が出ない
すると、突然星野さんが袋に入れ終わった商品を、ヨシキの胸に押し付ける様にしてに渡した
「ありがとうございました」
私を見つめていたヨシキが、瞳をずらして星野さんを見つめる
それでも、しばらくしてまた私の方に視線を戻したヨシキは、真っ直ぐに私を見つめ
「待ってる」
そう言い残して、出口へと向かっていった