いつも同じ空の下で


冷たい風が頬を撫でる

そんな中、目を見開いて私を見つめるヨシキ


でも




「――ジュリ・・・俺もジュリが好きだ」

「――え」

「それを、どうしても伝えたかったんだ」



そう言うと、ヨシキは私を覆いかぶさる様にして抱きしめた

爽やかなシトラスの香り胸いっぱいに広がる



そんな中、思いもしなかったヨシキの言葉に、今度は私の目が点になる




私を・・・好き?

ヨシキが?

でも彼女は?



困惑して何も言えない私の髪を優しく撫でて、ゆっくりと話しだしたヨシキ



「ジュリと別れてから、胸にぽっかり穴が開いて、何をしても心に響かなかった。何かを見ても、何をしていてもジュリの事しか考えられなかった」

「――うん」

「俺はずっと側にいてやれない。きっとジュリに寂しい思いをさせる・・・だから別れた方がジュリの為だと思った」

「――」

「ジュリに別れを告げられてから、何度も忘れ様としたけど、どうしても忘れられなかった。いや・・・忘れたくなかった。俺にとってジュリはすべてだったから。俺からジュリを取ったら、俺には何も残らなかった」



悲しそうに、声を詰まらせながらそう言うヨシキ

私を抱きしめる腕の力が増す





―――これは夢?

都合のいい夢?




でも

夢なら覚めないで


< 287 / 351 >

この作品をシェア

pagetop