いつも同じ空の下で

たしかに、この店はすごく可愛い造りになっている



アヤカが見つけたこの店は、木を基調とした温かい造りで、店内にはジャズが流れている

天井からは、アンティークなシャンデリアがぶら下がっている

家具や調度品もアンティークで統一されていて、奥にはカウンターの席もあり、沢山のお酒が並んでいる



「ここ、夜にはバーになるみたいだよ。お酒飲める様になったら来ようよ」



そう言って、ウエイターの持ってきた紅茶のお代わりを飲みながらウキウキした顔でアヤカが話している



「早く20歳になりたいなぁ。できる事沢山増えて楽しいだろうなぁ」



夢心地な様子で、奥のカウンターを羨ましそうにユウキが眺めていた

そんな2人に同意する様に、私も頷く



今この時間もとっても楽しいけど

大人になったら、もっともっと楽しい事が沢山あるんだろうな



――この時の私達は、迎える未来が明るいものだと信じて疑わなかった

それでも、今しかできない事も沢山あるのは分かっていて


早く大人になりたい様な

このままでいたい様な


そんな狭間で今を生きていた




それからも他愛もない事を話しながら、結局居心地のいい店内でたっぷりお喋りをして、それぞれの帰路へとついた

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