いつも同じ空の下で



その中に、一際目を引く選手がいた



すらっとした身長に

色素の薄い、少しクセっ毛の髪

滴る汗をタオルで拭きながら

子犬みたいに隣の選手と笑いながら話している




―――――ヨシキだ





ヨシキの姿を見つけた瞬間、胸の奥が縮まる様な感覚になって思わず胸に手を当てた

すると、不意にヨシキが顔を上げてこっちの観覧席に目をやった




わっ!! と思った瞬間に目があった




一瞬驚いたような顔をしたヨシキだったけど、じっと目を逸らさずに、こっちを見つめてきた

そして、微かに微笑みながら人差し指を下に向けて口ぱくで何かを言っている



その様子をポカンと口を開けて見ていると

最後にもう一度深く微笑んで、周りのチームメイトと並んで、体育館の外へと消えて行った




「え!? 今こっち向いて何かしてたのってヨシキくん!?」




すると、隣で一緒に見ていたアヤカは目をキラキラさせて詰め寄ってきた

それでも、思考がうまく働かない私は、ただ茫然と立ちすくむ

それでも




「ちょっと行ってくる!!」




そう言った瞬間、私は駆け出していた



私の勘違いじゃなかったら



『下に来て』



そう言ってた
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