いつも同じ空の下で


それから2人で1つの傘の中に納まって、家まで向かった

一向に降りやまない雨だけど、この時は雨に感謝した現金な私




「また電車の中に忘れ物したの?」

「うっ...」



肩を寄せ合う傘の中で、仕方ないなぁと言った顔をしてヨシキが私を見下ろした




「なんか私って乗り物に乗ると眠たくなるんだよね。それでウトウトしてたら駅に着いて、急いで降りたら・・・」

「アハハ!眠くなるって子供みたいだね!! 初めて会った日もデッカイお弁当忘れて行ったしね~」



そう言ってニタニタとあの時を思い出して笑っているヨシキ

その言葉を聞いて、あの失態を思いだし、一気に顔が赤くなる




「あっ、あの時のお弁当!! あれ全部私が食べたんじゃないからねっ」




あの練習試合の日、お母さんが張り切って作った沢山のサンドイッチ

私が全部1人であんなに大量のサンドイッチを毎回食べている大食いだとヨシキに勘違いされたままだった


すぐさま弁解しようと、慌てて言葉を落とす

すると



「アハハッ分かってるよ。全部ジュリが食べてない事ぐらい」



少し目を細めてヨシキがガシガシっと私の髪をかき回した



「ジュリってからかうと、面白いから少し意地悪した」




そう言って、悪戯っ子の様に笑うヨシキ



むむむむっ!! 完全に子供扱いされてるっ



それでも言い返す言葉が見つからず、乱れた髪を整えながらむーっとしてると



「ごめんごめん」と言ってヨシキが私の肩を掴んで、こめかみにチュッとキスをした

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