不滅の妖怪を御存じ?
そうして次の瞬間、カーンと鐘の音がまた鳴り響く。
「実技試験の説明を行います。部屋の中央にある石を河童に一定時間触れさせないようにしてください。河童が触れれば石に貼ってあるお札は破れます。使っていいものは、自分で作った札とチョークです。」
パッと一斉に子供たちがお札を手に持つ。
白い紙に黒と紅の達筆で何やら漢字が書かれているそれを、藍は目を丸くして見つめた。
こんな世界もあるのか。
一種のカルチャーショックだ。
「また、何かあったときのために学院の生徒を何人か同席させます。」
そうして紹介されたのは千秋、佳那子、もう一人さっき藍の隣で百面相していた男の子だった。
藍が紹介された三人を見つめていたら、隣の子供たちがウキウキと話し出した。
「すごい!今年のすごい人だ!」
「トップって言うんだよ。左の千秋さんが一番で右の桜さんが二番、真ん中の佳那子さんが三番!」
子供の話を聞きながら佳那子はすごい人だったのだな、と藍はしみじみ思う。
なんだかそんなすごい人が藍の入学のために頑張ってくれたのだと思うと変な感じだ。
そして子供の会話はさらに続いた。
「三人とも継承者だもんね!」
「紫月さんもだよ!」
「紫月さんは違うもん。文字書く係だもん。」
継承者?
子供たちの会話に藍は首を傾げた。
継承者って、何を継ぐんだろう。
家督?
考えているうちに、ガラッとふすまが開いた。