不滅の妖怪を御存じ?
「では、子供の河童を部屋に入れます。」
パリッとした声が響き、女性が入ってくる。
その手にはリボンのように細長い紙があり、その紙にはまた細かい文字で何やら書かれている。
そしてその紙がつながる先には。
紙に身体を三巻きくらいされた小さい河童が五人ほどつながれていた。
女性の後をぞろぞろと歩く姿はまるでカルガモの親子だ。
あの細長い紙は河童の行動を制限する作用があるのだろうか。
とりあえず、河童が見えるのだからこの試験は何とかなるだろうと藍は一息ついた。
だが、そこであることに気付いた。
五人の河童の後ろに、もう一人。
何かがいた。
藍は思わず目をこする。
「受験番号一番の人は前に出てきてください。」
試験官がそう指示を出している間も、細長い紙に体を巻かれていないそれは部屋をズンズン歩いてゆく。
一応、千秋や佳那子たちの近くは歩かないようにしているみたいだ。
それにしても、あれは何だろうと藍は思う。
青い着物を着て、フワフワの茶髪。
耳だけはまるで魚のヒレのように広がり、黄緑色に変色している。
細長い紙に巻かれて身動きがとれないでいる河童たちもチラチラとその変な存在を見ている。
新種の河童なのか。
細長い紙がほどけてしまったのかもしれない、と藍は思う。