不滅の妖怪を御存じ?
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「せっめー部屋だな。」
藍の部屋に入った妖怪少年の第一声はそれだった。
藍は怒るのもめんどくさくなってしまい片付け忘れていた布団に倒れこむ。
バフンッ、と埃とともにくぐもった音。
そろそろ干さなければな、と思う。
そういえば地下にある鬼道学園でどうやって洗濯物を干しているのだろう。
「おい、女、これ外に出ないのか?」
「監視の人がいるから出られないよ。」
フーン、と少年はつまらなさそうに部屋を見回す。
物が少ない藍の部屋には暇をつぶせるものは何もない。
彼が首を動かす度に茶色いフワフワの髪が揺れた。
妖怪にも茶髪はいるんだなぁ、と藍は不思議に思った。
「それ、髪の毛染めたの?」
「んなわけねーだろ。」
藍の言葉に心底ムッとしたように少年は言い返す。
ペタンと畳の上に座り込み、ムスッとした顔で口を開く。
「この髪はあれだ、一種の、間違いなんだ。俺が染めたわけじゃねーぞ。」
何が言いたいんだこの少年は。
藍は全く要領を得ない少年の説明に口を歪める。