不滅の妖怪を御存じ?
少し心が浮き足立ったとき。
トントン、と後ろから肩を叩かれた。
振り返れば、有明が口を曲げ佳那子を見ていた。
「こいつ、隅田の家系だろ。しかも鏡の継承者。」
「は?」
有明が言った隅田の家系、という言葉。
確かに佳那子の名字は隅田だ。
隅田佳那子。
そして佳那子が継承者ということも藍はすでに聞いていた。
鏡がどうとかは知らないが。
有明が言いたいことが掴めずに彼の顔を見ていれば、チカッと有明に光が当たった。
何だと思い後ろを見れば佳那子が鏡を持って立っている。
年期の入った、丸い鏡。
そこには藍の後ろで身を引いている有明が映っていた。
「藍ちゃん、その妖怪の子、名前何ていうの?」
「有明。」
「そうなんだ。よろしく、私は佳那子!」
藍の後ろを見つめて佳那子はニコリと笑う。
とても可愛らしい笑顔だったが、有明はその笑顔から逃げるようにバッと藍の後ろに身を隠す。
「あっれー。有明くんって人見知り?」
鏡を見ながら少ししょんぼりする佳那子。