不滅の妖怪を御存じ?
「えーと、それで?」
彼はチラリと紫月を見やる。
紫月は桜の問いかけには答えずじっと巻き物を見つめている。
桜の顔が渋くなる。
「紫月。」
「……藍さん、その、えっと。」
ようやく口をきいた紫月は桜を無視して藍の方を見る。
拳を握りしめ口元を引きつらせている桜が可哀想だ。
一方紫月は藍の横にいる有明の方向を見ている。
「有明のこと?」
「あぁ、すいません。有明さん。大変詳しく説明してもらい助かりました。今回は私の都合に付き合っていただき、本当にありがとうございます。」
頭を下げられて藍も慌てて頭を下げる。
有明はプイと顔を背けたが。
「もう夜も遅いので早くお休みになってください。」
微かに口元に笑みを浮かべた紫月。
本音を言うと眠かった藍はその言葉のままに書庫を後にした。
数歩遅れて有明がついてくる。
そうして二人は暗く静かな廊下を歩いていった。