不滅の妖怪を御存じ?
有明が気の毒そうに男の子を見てから藍を見た。
「お前ネーミングセンス無さすぎだろ。」
「……色々と深いわけがあって。」
鉄格子越しに藍を見つめる男の子と目が合う。
じっと見つめてくる黒い瞳には様々な期待が含まれているのが分かる。
君の主人になるつもりなんてなかったんだ、なんてまかり間違っても言えない状況だ。
どうしようか。
藍が唇を噛んだ瞬間。
それまで険しい顔で藍たちを見ているだけだった乙姫様が口を開いた。
「有田藍さん。一刻も早くその妖怪を竜宮城から出してください。」
「え、じゃあ私も出ていいんですか?」
「ええ。さっさと出て行って。」
乙姫が疲れた顔をしてカチャリと鍵を取り出した。
よかった。
この檻からは出られるんだ。
計画していたのとは違うけど結果オーライだろう。
藍は久々にホッとする気分を味わった。