不滅の妖怪を御存じ?





「八百万の神々って言うだろ。それと同じくらいの数、妖怪もいたんだよ。本当に大昔は。九木がおかしくなって今じゃ数えられるくらいしかいないけど」

「えっと、有明?」

「なんだよ」


ぶつぶつと話し始めた有明がなんだか怖くて思わず話しかけてしまった。
胡乱な目がこちらを見つめてくる。


「有明はどうしたいの?」

「決まってんだろ。生き延びたいんだよ」


吐き捨てるようにそう言うと、有明の目が剣呑な色を帯びた。

普段はあまり人のことを気にしない藍でも流石にここにきて分かった。
有明は怒っている。
それもものすごく。

ダンも有明のギリギリとした雰囲気にそわそわと落ち着かない様子だ。


「天狗たちは九木を倒そうと画策してるみたいだけどしょせん他人事だろ。アテルイの契約があんだからお前が死ななけりゃ天狗が九木に殺されることもない。対九木勢力の先頭に立って身体張ってるように見せてるが、実質今一番安全なのは天狗の一族だろうよ」


口を挟む間もなく言葉を吐き出す有明。

ムカツく、と底冷えするような声を出し、藍を見てくる。
なんで私を見る、弓月に言ってよそんなこと、と藍は言いたかったが。
言ったら最後、有明が何をしてくるか分からない様子だったので口をつぐんだ。




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