不滅の妖怪を御存じ?




「ここはもう竹内家の敷地内なの?」

「当たり前。まさか、君、入ってくる時何も感じなかったの?」

「え、うん」


素直に肯定すれば胡乱な目で見られた。
何となくバカにされてるのが分かり、藍は千秋を睨む。


「何、その目」

「いや、いくら壱与の封印を解くためとはいえ、君を頼るしかない自分が情けなくてね」


どうしてこの男は人の神経を逆撫でするような言い方しかできないのだろう。
さっさと鬼道学園に帰れと言ってやりたくなる。

そこではたと藍は気付いた。
そもそも、何で伊勢千秋がここにいるのか。
鬼道学園だって九木のことで色々と忙しいのではないか。


「ねぇ、何でここにいるの?」

「話聞いてなかった?壱与の封印を解くため」


振り向きもせずそう言う千秋。

そうか、鬼道学園も弓月と同じことを考えていたのか。
壱与の封印を解くことに些か不安はあったが、弓月と鬼道学園という妖怪のスペシャリストがそうするべきだと言うのならおそらくそれが一番いい方法なのだろう。

ダンのことは認めないけど、九木を倒すためなら協力しようということだろうか。
鬼道学園も手伝ってくれるというのなら心強い。

藍の心にムクムクと自信のようなものが湧いてくる。


「他の人たちも来るの?佳那子とか」

「は?」

「さすがに今回は伊勢千秋一人ってわけにはいかないでしょ」


足を止めてこちらを振り返る千秋。
無表情でじっと藍を見つめてくる。

そしてふと、合点がいったかのように「あぁ、」と声を漏らす。





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