不滅の妖怪を御存じ?







「良くはないね。僕、鬼道学園辞めることになったし」


千秋の言葉を理解するのに数秒かかった。

その間呆然と何も言えないでいる藍を、千秋はただ見つめていた。
ヒヤリとした目で、道端の石を見るように。

こんなにあからさまに見下されたのは初めてだ、と藍は思った。


「君も鬼道学園辞めることになったよ」

「あぁ、そう……」


ダンと一緒にいたのだからそれもそうだな、と藍は思う。
もう話は終わりだと言うように千秋は歩き出す。

慌てて藍もその背中を追いかける。
ピンと背筋を張ったその姿勢からは育ちの良さがうかがえる。
だからこそ藍は信じられない気持ちだった。

伊勢千秋が、鬼道学園と対立。
つまりそれは、彼は彼の父親と対立したということで。

こんなに由緒正しい家柄のお坊ちゃんでも、親に逆らうことがあるのだな、と藍は思った。







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