不滅の妖怪を御存じ?
ふいと背を伸ばし千秋の後ろから廊下の先を見る。
じめっとした空気。
薄暗い廊下の先。
行き止まり。
そこに、ひっそりと小さな小屋があった。
それから、
「え?」
「なに?」
「あ、いや、なんでもない」
藍は目をしばたかせる。
ボロボロの薄汚れた小屋。
そのそばに、ダンが立っていた。
彼はじっと小屋を見つめていて藍たちには気付いていない。
どうしてここに?
挙動不審な藍に千秋は不思議そうな目を向ける。
藍はダンのことを伝えるべきか迷った。
言った方が良いのだろうけど、千秋はダンを苦しめはしないだろうか。
突然拘束するとか。
いや、それよりも。
先ほど千秋が「東北の妖怪と壱与の妖力が同じ」と言ったのはここにダンがいたからだろうか。