不滅の妖怪を御存じ?
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すぐに追いかけたからか、探していた後ろ姿は簡単に見つけられた。
足元に生い茂る木々を飛び越えながら距離をつめる。
彼は振り返らない。
あの男はこちらを気づいた上で無視しているのだろう。
「千秋、待てよ!」
そう叫べば、ようやくめんどくさそうにこちらを振り向いた。
「何?」
「何って、お前……」
死ぬつもりか。
いや、そもそもこの状況で神に頼らずにどうやって九木を倒すつもりなのか。
頭には色々と浮かんでくるが、桜はそれを言葉にできないでいた。
「何、するつもりなんだ」
「僕が?乙姫と交渉する」
「乙姫?」
「そう。彼女の能力を使ってもらわないと、有田藍は死ぬからね」
乙姫の能力。
竜宮一族の力。
何だったか、桜はとっさに思い浮かばない。
クソ、こんなことなら紫月に聞いておけばよかった。
内向的で人間との関わりを嫌う竜宮一族は鬼道学園のマークから外れていたのだ。