不滅の妖怪を御存じ?





「引き換えに、千秋の命を差し出すのか?」


そう言えば、千秋は驚いたように目を瞬いた。
だが、次の瞬間にはらいつもの涼しい顔に戻っていた。


「竹内天音が話したか」

「脅せばいいだろ」

「は?」


桜は腰にある七支刀を素早く抜く。
千年以上前から石上家に伝えられてきたその刀はボロボロに錆びついており、人など切れそうにもない。
だが、妖怪は殺せるのだ。
鬼道学園が有する、唯一の妖怪を殺す方法。


「命なんか差し出さなくても、俺の刀で殺すぞって、脅せばいいだろ」

「お前がそんな穏やかじゃないことを言うとはな」


千秋はなんともボンヤリした表情で桜の七支刀を見る。


「相手は妖怪の中でも上の五人には入るくらい妖力が強い乙姫だ。多分すぐに吹き飛ばされるぞ」

「なんとかなるだろ。死ぬ気でやれば」


だから、勝手に死ぬ覚悟を決めるな。
桜の強固な姿勢に千秋はため息をつく。






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