不滅の妖怪を御存じ?
「二人でお陀仏とか勘弁してほしいんだけど」
「一人死のうが二人死のうが誤差の範囲だろ」
「誤差なわけあるか」
千秋はそう言うと再び歩き始めた。
桜の案を受け入れてくれたのだろうか。
「言っとくけど、桜の案は最終手段だ。交渉がうまくいかなかった時の」
えー、と桜は不満そうに言った。
だが、追い返されなかっただけマシだと思う。
最悪結界でも貼られて突き放されると思っていた。
ホッとしたのもつかの間、千秋はさっさと先に進んでしまう。
慌ててそのあとを追いかける。
乙姫は九木の拠点を離れて川に入っている。
川の流れに任せて海まで戻るつもりだろう。
川沿いに山を登っていればいずれ鉢合わせするはずだ。
桜は七支刀の柄を握りしめる。
じわっと、嫌な汗が出てきた。