不滅の妖怪を御存じ?
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バキッ、ボキッと。
地面の木々を踏み折りながら歩く。
右手はダンの左手としっかり繋がれている。
山へ行けと言われたが、本当にこっちでいいのだろうか、と不安になる。
幸か不幸かダンは牛木だったので、同じ牛木である九木の居場所は分かるらしい。
もし間違った道を歩めば彼が教えてくれるはずだ。
九木を殺しにいく。
それに何故ダンが付いていくのかといえば、千秋に命令されたからだ。
「保険として、東北の妖怪を連れて行きなよ」
「……ダンはまだ子供だよ」
「そいつはもう千年以上も生きてる。それに、6550万年前に地球の自然が滅んだか確証がないんだ。竹内天音が言うように、ただの急激な温度変化でそれに耐えられなかった恐竜が死んだだけだったらどうする?木々も恐竜以外の生物も普通に生き残っていたら、九木は死なないんだよ」
だったら、それはそれでいいんじゃないかと藍は思った。
九木は6550万年前に行き、今の時代には干渉できない。
彼は6550万年を過ごさなければならない。
そこまで考えて、藍はダメだな、と思った。
未来へ飛ばす能力をもつ乙姫がいるのだった。
乙姫という妖怪がどのタイミングで生まれたのかは知らないが、彼女がいれば九木は6550万年の時などすぐに越えられる。
そしてこの時代にやってきて、再び人を滅ぼそうとするだろう。