不滅の妖怪を御存じ?






突然現れた二人を前に、千秋と桜は固まっていた。

すると、千秋が話の流れをぶった切るように口を開いた。


「佳那子、紫月。有明って知ってる?」

「え?」

「乙姫の子ども。妖怪」


千秋の言葉に佳那子と紫月はきょとんとする。
一瞬間を空けてから佳那子が答えた。


「有明って、あの、藍ちゃんと一緒にいた子?」


思わず千秋の顔を見た。
目をパチパチさせて佳那子を見ている姿。

それから、感心したようにこう呟いた。


「そう上手くいくことはないだろうな、と思ってたけど。案外うまくいくもんなんだね」


じゃあ、行こうか、と言って歩き出す。
勝手に進み始めた千秋に佳那子たちが戸惑っているのが感じられる。

また説明しろって怒られるんだろうな、と思いながら桜は千秋の後を追った。

間を置かずに、後をついてくる足音が聞こえた。







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