不滅の妖怪を御存じ?






「今までお前の祖先たちは我が殺した。弓月と壱与が死んだ今、貴様ら一族の血に意味はない。死んでもらう」


そう言ってから、ニヤリと歪に九木が笑った気配がした。

ギョロリとした目が、藍の後ろで震えていたダンを見た。


「おおかた、その子どもの口を使って我を殺そうとでも考えていたのだろう。我が死ねば、人間も死ぬぞ」


一瞬、ダンが殺されるかと思った。
だが、九木は動かなかった。
藍が何も言わないのを怯えていると捉えたのか、九木の声は少し弾んだ。


「人は弱い。獣に見つめられれば、個では何も出来ずにむさぼり食われるほどに。何百年も前から、貴様らは弱いままだ」


不気味なほどに辺りは静かだ。
九木の声が嫌にはっきり聞こえる。


「貴様らは、動物を囲い、良いように使い、全て取り尽くしたら、当然のように殺す。一体なんの権利があってそんなことをする?排泄から睡眠から食事全てを監視される気持ちが貴様らに分かるか?」


住処を奪い、自由を奪った。
人間が憎い。
滅んでしまえ、と九木が呟いた。





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