不滅の妖怪を御存じ?
「大昔。乙姫から話を聞いたことがあった。西の化け物と交わって、できた子供になんの間違いか能力が受け継がれた、と」
「私のことですね」
ギシッと、変な音がなりそうなくらい不自然に有明が笑った。
「忌まわしき茶色い髪と目。出来損ないだと聞いていたが、能力は使えるのか?」
「ご安心を。きっと九木様のお役に立ってみせます」
ヘタクソな笑顔のまま有明はそう言った。
そうして、少し顔を動かした。
そこでようやく、彼と目が合う。
「そこの人間と妖怪は?」
あくまで有明はシラを切るつもりらしい。
一度は有明も藍と一緒にいるところを九木に見られているはずだから、彼の三文芝居などすぐにバレる。
そう思ったが、九木は何の反応もせず藍たちに目を向ける。
気付いていない。
藍は唇を噛みしめる。
このままでは、本当に見殺しにされるんじゃ。
あの毛玉、鬼道学園で助けてあげたことを忘れたのか。
そう、一瞬怒りそうになったが、ふと冷静になる。
焦って怒ってはダメだ。
前向きに、物事を捉えなければ。
希望的観測だが、有明はわざとやっている可能性もある。
藍たちの計画は知らなくても、味方になろうとしてくれているのかもしれない。