不滅の妖怪を御存じ?
知らない時代に九木とダンと自分の三人だけ。
どうすればいいのか分からないまま放り出された心細さ。
やるなら最後までやれよふざけんな、と。
有明は藍を一発殴りたかった。
地獄ででも殴ってやる、と思っていたら。
ズシン、と地面が揺れた。
「これか」
九木の満足そうな声。
バサバサバサッと、木々から何かが飛び立つ。
ズシン、とまた揺れる。
むせ返る生臭い匂い。
木々を踏み倒し、大きな、鳥とも獣ともつかない何かが、有明たちの前を横切っていった。
あれが。
「恐竜?」
呆然と呟いた。
ハッと九木の乾いた笑い声。
「絶滅など、してないではないか。やはり、人間の思い上がった妄想だったわけだな」
そう言うと、物言わぬ藍へ目を向けた。
藍に覆いかぶさっているダンはシクシク泣いている。
何だよ、これ、と思わず有明は呟く。
藍は一体何考えてたんだ。