不滅の妖怪を御存じ?






有明がいなくなってほどなくして、千秋も鬼道学園に戻ると言いだした。

帰り際、ついでのように見たことある箱を渡された。


「これ、」


天狗が描かれた箱だった。
竜宮城で見た、藍の祖先の姿が収められた箱。
何故、これを千秋が。


「僕は弓月のこと何も知らないけどさ」


箱を開け、一番上にあった藍の写真を取る。


「こういうの残しておくくらいには、君たちのこと好きだったんだと思うよ」


千秋の手にある藍。

初めて、弓月が写真を撮ってくれた日。
真新しい制服を着て庭に立つ藍は、ぎこちなく笑っていた。

弓月は何を思って藍を撮ったのだろう。

千秋が帰った夜。
箱の中の写真を何度も見た。

それから、弓月を思って少しだけ泣いた。









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